同期と同居~彼の溺愛中枢が壊れるまで~
溺愛level6*元彼に誘われて


翌朝、午前九時ごろに目を覚ますと、比留川くんは予告通りマンションから姿を消していた。

昨夜のことをフォローするメールや書き置きでもないかなと思ったけど、そんなものはなく。

代わりに朝比留川くんが飲み残したのであろうコーヒーや、ソファに脱ぎ捨てられた部屋着が“私を取り残して出掛けました感”を醸し出していて、胸に寂しさがこみ上げる。


「ダメだ……家にいると腐る」


そんな危機感を抱いて、私は二日酔いの身体を引きずってでも外出することにした。





支度をして外に出てみると、頭上には憎らしいくらい真っ青な晴天が広がっていた。

今日はきっと、海もきれいな色なんだろうな……比留川くんは今頃、玄太さんと一緒に波に乗ってるのかな。まさかとは思うけど、沙弓さんは一緒じゃないよね……?

ふいに浮かんだ嫌な予感をかき消すように、ぶんぶん首を横に振る。


最寄駅から地下鉄を乗り継いで、やってきたのは銀座。

そこで何気なく入った老舗百貨店の地下一階で、気になる催しをやっていた。


「……瀬戸内フェア」


ノボリに書かれた文字を読むなり、足は自然と会場の方へ向かう。

会場内には私の地元岡山をはじめ、瀬戸内海に面した県の名産品が取り揃えられていて、なんだか懐かしくなった。


< 95 / 236 >

この作品をシェア

pagetop