山下くんがテキトーすぎて。



「お、起きてたの…?」



「もう、すぐ寝るけどね」



「……昨日は、ごめんなさい」



「…別に、それはいい」



「………」




ドキドキする。

目を逸らしたくなる。


だけど、


時間が止まったみたいに


山下くんに、吸い込まれそうで……


頭が、ぼうっとしてくる。





「あいつに、惚れちゃった?」




………えっ?


ほんとに、小さな声だった。

よく、聞こえなかった。




「今、なんて?」


「……いや、なんでもない」




そう言って、
再び、顔を伏せる直前。


私を見つめる山下くんの綺麗な瞳が、

わずかに揺れた気がした。




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