ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
ガラスの靴を届けに
短い着信音が聞こえボックスを開いた。


『渡したい物がある。次の土曜日朝10時。寿神社の前に来い。谷口大輔』



「げっ!」


何これ。
あのヤンキーからのメール!?



「渡したい物って何!?昨日さんざん貰ったし!」


寿神社というのは、昨夜お祭りがあった場所。
そこで谷口が注文してきた物を私はさんざん飲食させられた。


たこ焼き、焼き鳥、ビールにソフトクリーム、ポテト、モツ煮込み……。

食べきれない分はお土産として持たされ、おとぎ話の如くミドリ色のタクシーに乗せられた。



「…あのタクシー代も結局あの人が払ったんだ……」


お願いします…と言いながら、福沢諭吉を手渡してるのを見た。

この上私に何をくれると言うの……。



「いらないっ!何もいらないっ!」


お願いだからこのメールもスルーさせて!
昨夜のキスも何もかも、無かったことにして欲しい!


「…そうだ!気づかないフリをして……」


メールボックスを開かなかったことにしてしまうのはどうだろう?
日が過ぎたところで見た的な感じにしてしまうとか。



「1週間まるで見ないとかないよ〜〜!」


一人でボケツッコミやってる場合じゃない。
何とか断らないと。



「でも、どうやって」


変な男に捕まった。
これって、ストーカー行為なんじゃないの!?


「だったら警察に相談!?」


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