ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に
上司はヤンキー!?
月曜日に郁弥に絡まれて以来、何事もなく金曜日になった。

郁弥が副社長の怒りを買って、地方支社に飛ばされるというのはホントらしい。

検品課でもその話をしてる同僚がいて、「自業自得」だと言われていた。



「あちこちの取引先の女子に手出してたらしいよ」

「社内でも軽い男っていうウワサだったしね」

「地方支社へ行っても似たようなことするんじゃない?」

「そしたら本社へは暫く戻ってこれないね」



どうやら何も知らないでいたのは私だけだったみたい。
郁弥は相当に軽い男だったんだ。



(あの夏祭りの日に本性見れて正解だった)


ヤンキーとはいえ、谷口に助けられた。
彼とは先週の土曜日以来、ちょこちょこと短いメールを交換してる。




『元気か?』

『まあまあね』


そんな感じの。




(……これって付き合ってるんじゃないよね)


そう思うからこそ聖にも真綾にも話さなかった。
メールを交換してることも一緒に出かけたのもナイショにしてる。


ただ、真綾には服を借りた理由を聞かれて……



『しし…、親戚の結婚式の二次会に呼ばれたの!』


吃りかけてしまった。
真綾は私の吃りには慣れてるから、それをウソだとも思わなかったみたい。


『そう。じゃあまた何かある時は言って。今度は真っ赤なワンピでも貸すわ』


そう言って笑った。
それに顔を引きつらせつつ、ご遠慮申し上げます…と返事した。


< 75 / 209 >

この作品をシェア

pagetop