竜宮城に帰りたい。
Day 3; 夜の違和



「おねえちゃん、ずる〜い!!」


その日、家に帰ると案の定ふくれっ面のゆかりが待っていた。


「ごめんってば。
でもゆかりが遅くまで寝てるのが悪いんだよー。」


「昨日のうちに言っといてくれれば、
目覚ましかけたのに〜!」


「明日も誘いに来てくれるみたいだから、
今日は目覚ましかけておきな。」


「うん…」



ゆかりがなんとか怒りを抑えてくれたようで、ひとまず安心する。



「明日はどこに行くんな?」


おばあちゃんに聞かれ、一瞬悩む。

だって明日の約束なんて何にもしていない。


「ゆかりも行くなら、もう一回浦島伝説の浜に行くかもしれないな。」

「そらええのぉ。」

「うん…。」


今日浜に行った話も、
おばあちゃんは嬉しそうにうんうんと聞いていた。

大切にされているんだな、と実感できて、なんだか照れくさい。



「でも、あんま晴ちゃんに迷惑かけちゃぁあかんでー。」

「え、晴?なんで?」


おばあちゃんは「まぁまぁ」と私の頭をポンポンと叩いてはぐらかすと、
「気ぃつけてのぉ」
と言って寝室に入ってしまった。



私もあまり気にせず、おばあちゃんに「おやすみなさい」と言い、
一足先にゆかりが行った寝室に向かった。




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