おためしシンデレラ
秘書の条件


「見てくれはどうでもええ、別に嫁さんにする訳やないからな。っていうか色恋抜きで使える秘書をよこせ」



3年と少し前、莉子が和生の秘書になる前まだ秘書課の下っ端課員だった頃、偶然立ち聞きしてしまった社長と秘書課長穂村との会話。



莉子が働く京都に本社がある「株式会社ミムラ」の創業者一族、3代目社長の三村和生34歳、独身。秘書課のおねーさまたちは元より、独身女子社員の垂涎・・・・・憧れの的。

185cmの長身、鼻筋の通った精悍な顔、学生時代はバスケットに明け暮れたという筋肉質な肩幅の広い身体で仕事も精力的にこなす。

所謂、デキるイケメンという生き物だ。

モデルに女優にお水のおねーさんたちにも大人気。結婚すればセレブな生活がもれなくついてくる。



何日か前、社長付きの秘書だった木島さんがイキナリ総務部に部署替えされた。
なんとなく事情が呑み込めた。

どこやらのお嬢様で英語も堪能、絹糸のような黒髪が美しく、人形のように綺麗な女性だったけれど。


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