おためしシンデレラ
秘書の生態


三村の朝はジョギングから始まる。

雨の日、女性と夜を過ごした翌日以外は変わらない日課だ。若いつもりでいてもそこはアラフォー、油断するとお腹の辺りから身体が緩んでくるからだ。

莉子との同居が始まってもそれは変わらない。

ジョギングから帰ると莉子がキッチンからお帰りなさいと声をかけてくる。普段なら朝食は食べない三村だが、朝ごはんは一日の始まりの基本だと強硬に主張する秘書に押し切られて取ることにした。

シャワーを浴びてダイニングテーブルにつくと目の前に野菜サラダとベーコンエッグとトーストが並べられる。

莉子は先に済ませたのか洗濯をしているようだ。

時計代わりにつけているテレビがニュースを伝える。もうすぐ7時だ。

食事しながら何とはなしにテレビを観ていると、莉子が身支度を終えて現れた。

「もう行くのか?どうせ同じところへ行くんやし一緒に車に乗ってったらええやろ」

「社長の車から降りるところを女子社員に見られたらわたし呪い殺されます」
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