おためしシンデレラ
秘書の混乱


アラサー処女を揶揄うのはやめて欲しい。

どんな心境の変化だ。
会社にいるときはいつも通りの態度なのに、家に帰って来るとちょこちょこと構われる。

ただそれは恋人とかにする態度とは少し違う。

食事のときに三村が口にした言葉で莉子はあっさり疑問が解けた。

「小型犬とかモルモットとか、お前との同居を解消したら飼うかな」

「はあ?」

「いや、家で小動物が走り回ってるのも悪くないなと思って」

莉子が作った鯵の南蛮漬けを美味しそうに食べながら三村が口にした言葉に力が抜ける。

「愛玩動物を飼う前に奥様を貰われた方がええと思います。会長や穂村課長も安心されますよ」

「それとこれとは別問題だ」

「一人暮らしで動物なんか飼い始めたらますます婚期が遠のきます」

「それは独身女性に言うことやな」

いや、独身男性だって同じだろう。

「愛玩動物って人間の手をかけてやらないと死んでしまうんですよ?」

「ああ、そうか。お前、手がかからへんのにな」

年頃の女子を愛玩動物扱いすんな。
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