クール上司とエレベーターに閉じ込められて

「林さん汗かいてるけど大丈夫?」


課長がそう私に聞いた。


私は、慌てて額を拭うとびっしょりの汗が手に付いた。


幸いメイクは薄目だし眉も自前だから良かったが、夏の建設作業員並の汗をかいていた。



それよりも何故林さんなのだ?


のりちゃんじゃないのかと怒りが湧いてきた。


課長をここで刺して二人で死にたい気分だったが刺す物がなかった。


ヘヤピンは、あったがヘヤピンで刺して殺す事が出来るだろうか?


それよりも、この話しは所謂素敵な上司と部下とのオフィスラブではないのか!?


普段はクールな上司と不細工な女子社員がエレベーターに閉じ込められてそこで恋が生まれるというある種のファンタジーじゃないのか?


それを読んで女性読者が萌えるのではないのか?


ケータイ小説は、女のエロ本と言った人が居るがちっともそういう展開ではないじゃないか?


これでは、頭のおかしい女の独白の話ではないだろう。


あー!不細工な女子社員って私?ガッデム!!


私は、名前こそあしたのジョーの乾物屋ののりちゃんだけど、ルックスは普通だよ。


ABCで分けたらAランクの中位よ。


それに、そこそこ明るいし友達も居るから地味子でもない。


服にも下着にもそれなりに気を使ってるよ。


今日の下着は黒のティーバッグだよ。


先週は後輩の男性社員にコクられて断った位だし二十五だけど、男性経験は五十人は軽く超えてるんだよ。



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