苦しくて、愛おしくて




入試を前日に控えた夜。


【今外出てこれる?】


落ち着かないのは、私の方だったかもしれない。

気づいたらそんなLIMEを凛に送っていた。


「(なんだこれ)」

返ってきたのはスタンプ一つ。

しかもどこで見つけてきたのってくらい可愛くないイヌが変顔でおちょくってくるやつ。


腹立つから私も煽りスタンプを送り返した。


でも多分返してくれている時点で「いいよ」と言っているようなものなので、私はアウターを羽織ると階段を降りていった。


リビングにひょこっと顔だけ出す。

「お母さん、すぐそこ行ってくる」

「え、すぐそこって何処」

「すぐそこの運動公園」

「こんな遅くに何しに行くの」

「凛とちょっとバスケしてくる」

「まあたアンタは「いってきますー」


そこから先はまた長くなりそうなので無理矢理ドアを閉めてシャットアウト。

玄関の置物状態となっているバスケットボールを久々に手に取ると、外へ急いだ。


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