クールな御曹司と愛され政略結婚
愛ならここに
「イェー、俺、もらったっす、財布、もらったったーフーフー!」



そこまで喜んでもらえるとは。

週が明けた月曜日、木場くんがくるくる回りながら私のところにやってきた。

灯のもとの財布にキスしかねない勢いで、やったやったとはしゃいでいる。



「そんなに欲しかったの?」

「当たり前じゃないすかー、灯さんの使ってたやつですよ、俺、一人前になるまでこれお守りにします」



そういえば、ファンか。



「木場、お前、自分の荷物全部忘れてる!」



そこに灯が戻ってきた。

ふたりで打ち合わせをしていたらしく、書類やらPCやら、木場くんのぶんまで抱えている。



「あっ、すみません」

「そそっかしい奴に進行なんかやらせないからな」

「灯さんのことになると好きすぎて舞い上がっちゃうだけです!」

「気持ち悪いこと言うな!」

「木場くん、進行やるの?」



今まで進行補助という立場だったのが、格上げか。



「やりたいって言ってきてるんで、やらせてみようと思う。例のシリーズから」

「そっかあ、よろしくね」

「がんばります!」



頬に血を昇らせて敬礼する木場くんは置いておいて、私は柘植さんと電話で話した内容を灯に見せた。



「明日打ち合わせすることにしたんだけどね、一度の撮影で、2シーズン分を撮るのがいいだろうって。テーマが四季でしょ、冬の分は動かせないから」

「ここだけは、どうやっても単独になるもんな」

「そう。素材は複雑になるけど、こんな感じでね…」

「あれ、灯さん、ここどうしたんすか?」
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