恋色流星群



なんか、この並びやっぱ変。


『ねぇ、やっぱそっち行ってよ。』


銀座の某和食店。
庭園風の中庭に臨んだ個室で。向かいの席を、メニューで指した。


「やだ。しつけぇな。」


隣の男は、呆れた顔で首を振る。


「もう、先頼まねぇ?腹減ったんだけど。」


その姿に、こっちが呆れる。

2:2で向かい合う4人席に。
なぜか、先に着いた私と航大が横に並び合う。
これじゃあ、遅れてきたチョコが尋問に合うみたいじゃない。





『じゃあ、私があっち行く。』


迷彩柄のニットのクラッチを掴んで、立ち上がろうとしたら。


「だから、隣にいろって。」


簡単に肩を抱かれて。
ストン、と座り直させられてしまった。

ぐぅっと、こみ上げる怒りに唇を噛んで。
悠長にシャツを脱ぎ始めた右側を睨んだら。




「なに?怒ってんの?可愛いんだけど。」



組んだ腕をテーブルに載せて、おもしろそうに覗き込む。


『なめてる?』

「なめてねぇよ。笑
ほら、メニュー見せてよ。」

『やだ。あんたに見せるメニューはない。』



ふっと、腕組みしたまま。私から顔を反らして、笑う。




むかつく。

今日の、甘く纏う雰囲気が。
なんか、無性に悔しい。


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