恋色流星群


「林さん、ですね?」


ふいに呼ばれて振り返ると、ラベンダー色のマキシワンピの若い女の子が立っていた。



『あ、はい・・・瀬名、さん?』

「そうです、初めまして!よかったです、無事に到着されて。
長旅お疲れさまでした、これから5日間よろしくお願いします。」



この人か~、対応や言葉使いが大人すぎて。
もっと年配の人かと思ってた。
イメージとは違うけど。可愛い子だな。





荷物お持ちしますね、と私のリモワを受け取るとスタスタと慣れた感じで歩き出した。


慌てて、背中を追う。

直感で感じる。

この子の感じ、好きだな。









「今日はこのまま、ホテルにお連れします。
お疲れのところ申し訳ないんですが、そのまま打ち合わせに参加していただいて。状況によっては、ヘアやネイルの仕込みに入らせていただくので。
早くても、終了は20:00頃の予定です」

『やった、思ってたより早い。』


思わず、口に出る。

瀬名さんは、一瞬目を丸くしたけど。


「そう思っていただけるなら、よかった」とにっこりした。









ホテルに向かう車の中。
開いた窓から流れてくる、懐かしい暖かい香りと、真っさらな海のブルー。


気持ちいいな・・・

ちょっと、来てよかったかも。


窓から少し顔を出す。
髪が風に泳ぐたび、昨日までのストレスが拭い去られていくような気がした。






『瀬名ちゃん。』

「え?」

『こちらこそ、5日間よろしくお願いします。
ちょっと遅くなっちゃったけど。笑』







瀬名ちゃんは。

くすぐったそうに笑って、頷いてくれた。
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