オフィスの野獣と巻き込まれOL
謎の男の正体


いやだ。このままではいられない。

それなら、どうするの?

昨日から、頭の中はそのことで一杯だった。

あの男に謝ってもらう。


なんて勢いよく宣言しても、何をどうしていいのか分からない。

かといって堀川課長に会いに行って、真正面から彼にぶつかる勇気はない。

冷たくあしらわれて、無視されるだけだ。

そんなことされたら、目も当てられない。

それなら、これはどうだろう。

会社で、彼に弄ばれたって騒いでしまえば……

バカじゃないの。

私が会社に居られなくなるじゃないの。

あっそう、じゃあ何?

それならこのまま泣き寝入りって事?

それは、嫌だ。

嫌だって言ったて、どうするのよ。


向こうは、完全に遊びだって宣言してるし。

どうしようもないじゃないの。気持ちが完全に私に無いんだから。


「まったく、何やってんだか」

考えてるうちに、何もできない自分に腹が立った。

感情が高ぶって、思わず手でテーブルを叩いてしまった。



「また、美帆が自問自答してる」

「ごめん」っていうか。

ここ会社だった。

お弁当の包みをを開きながら、亜美が言う。

彼女は、持ってきた水筒を握りしめて、私の顔をじっと見ている。

何やってるんだか。

午前中まで何もなかったって必死に外見を取り繕ってたのに。

ずっと堀川祐一のことばかり考えていて、お昼の休憩中なの忘れてた。

私の横に亜美がいた。

いきなり机を叩いた私に驚きながらも、同期で仲がいい友人が、心配そうに私を見つめてる。

小さくて可愛らしい彼女と、一緒にお弁当を食べてた。

そして、もう一人ここにいたのも忘れてた。
< 44 / 349 >

この作品をシェア

pagetop