2階の3つあるうちの1番奥の部屋に案内される。
1番手前がトオル君の部屋。
真ん中は物置らしい。

シングルベットと作り付けのクローゼット。
フローリングの床に小さな子供が使うようなテーブルだけがある素っ気ない部屋。
カーテンは薄いピンクの花柄で、少しくすんでいる。
昔(?)は彼女が使っていたらしい。

窓に近寄ると、目の前は桜の木。
きっと、春に花が咲いたら綺麗かな。
芝生の貼ってある和風の庭。所々茶色に色あせていて、
紫陽花や、紅葉、金木犀、ユキヤナギが葉を落として寒そうに立っている。


2階の廊下に置かれた家用の電話を借り、
(事務所の電話は別。もちろん非通知にして、電話番号がわからないようにしておく。)
とりあえず暗記していたお姉ちゃんのスマホに電話すると、すぐに繋がった。
「ヒナコ、どこにいるの?」と笑った声。
「まさか、家から脱走するとはおもわなかったわ。
それも、カメラにオトコの姿が映ってたらしいじゃない。」と面白そうに言った。

もう、仕事先のお姉ちゃんまで、知っている。
家じゃ、大騒ぎだ。とちょっと考える。

「えーと、お友達のところに居させてもらってる。
しばらく帰らないつもり。
でも、荷物を何にも持ってないの。
お姉ちゃん、助けてくれる?」と聞くと、

「いいわよ。静子さんに頼んどく
お父さんに知られなきゃ、いいんでしょ。」と笑い、

「用意しておく。明日また電話して。
そこはヒナコのオトコの家?」と聞かれたので

「友達の家です。…普通の生活をしてみたい。」と小さな声で言うと、

「社会見学ってことね。」とお姉ちゃんはくすんと笑って電話を切った。

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