夕方、終了時間と言われていた18時30分。
みんなはまだ、仕事が終わっていない様子だ。

「最寄駅にお手伝いさんが荷物を持って来てくれている」
とトオル君のデスクの横で小さな声を出すと、キッチンに手招きされる。
キッチンの奥で顔を寄せてくるので、ちょっと赤くなるけど、
トオル君は気にしていないようで、
「ピーコ、俺のことはなんて言うつもり?」と小声で聞く。
「友達の所にお世話になるって…」
「男の友達の家にいるって言ったら、お手伝いさんが驚かない?
…俺はさ、恋人の所にしばらく居るって言った方がいいと思うんだけど…
ただの男友達のところってわかったら、
男のところなんて危ないって親に報告されて連れ戻されるんじゃないの?」
と私の瞳を覗いた。

それはそうかもしれないけど…

トオル君は恋人って訳じゃないし…。
でも、トオル君は

「恋人って事にすれば?
幸い左近も桜井も俺の新しいオンナって思ってるらしいし…。
『親に内緒の恋人』の所にいるって言った方が、
お手伝いさんに協力してもらえるんじゃない?」と言葉を続けた。

「…トオル君は困らない?」と私がトオル君の瞳を見つめたら、

「俺は困らない。
今、彼女いないし。」とニカッと笑顔を見せた。
昔のままのこどもっぽい笑顔。
よく、イジメられた気もするけど、この笑顔で許してしまっていたかもしれない。と、思い出す。
…甘えてもいいのかな?

「…そう…ですか…
すみませんがよろしくお願いします。
出来るだけ、早く出て行きます…。」と深く頭を下げると、

トオル君は急に不機嫌な顔になる。









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