悪役秘書は、シンデレラの夢を見る!?
七、幸せの余韻


それから慌ただしく身なりを整えて、会社に顔だけ出すとすぐに空港へと向かった。

鞄の中に急な残業や出張用に化粧直しに慌てないように色々と入れていて良かった。
化粧水が無かったらスッピンで家に帰るかコンビニに走っていたかもしれない。

そんなのが、キースの最後の私の姿になるのは耐えられない。

万全の状態で送りたかったから、本当に良かった。


「英田秘書、来ました」

立花さんの声で、示した方向へ視線を向ける。


空港に入ってすぐに、頭一個高いキース達が、うちの会社が用意したタクシーから降りてロビーに到着するのが見えた。

「キース!」

「シノ。来て下さったんですね」

蕩けんばかりに笑顔になったキースだったけれど、手を振った私の指先を見て顔を崩した。

一瞬、どんな顔をすればいいのか分からなかったけれど、私はにっこりと手の甲を見せて微笑んだ。

「今朝、婚約指輪を貰ったの」

「……君を本気で口説いていた私にそれを見せるのですか」


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