溶ける部屋
行き止まり
6人で小道を歩く。


ここがどこかはわからなかったけれど、山の中は爽やかな朝だった。


「なぁ、思ったんだけどさ」


トシが不意にそう言った。


「なに?」


あたしは聞く。


「なんでみんな制服なんだろうな」


その言葉にあたしは「……わからない」と、返事をした。


学校帰りとかならまだわかる。


だけど、記憶が正しければ今は夏休み中だ。


登校する生徒たち意外はみんな私服姿のはずだった。


「どう考えても、おかしいんだよなぁ」


トシは首を傾げてそう言った。


「記憶の日付は8月17日で止まってるんだけど、みんなはどう?」


「あぁ。俺もたぶんその日付だな」


健が答える。


「あたしも」


「俺もだ」


それぞれが記憶をたどって、みんなの記憶が同じ日付だと確認する。
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