溶ける部屋
プレート
夕食を終えてお風呂に入ると、体のあちこちに小さな傷ができている事に気が付いた。


小道と言えど森の中を歩いたせいで、知らない間に擦り傷ができている。


傷口がしみるのを我慢しながら汗を流す。


綺麗に洗濯されたパジャマに袖を通すと気持ちがよかった。


お風呂から出るとみんながリビングで何かをしているのが目に入った。


「なにしてるの？」


そう声をかけると、すぐに健が顔を上げた。


「今部屋に貼るプレートを作ってるんだ」


「プレート？」


見ると、テーブルの上には紙とペンが用意されて、そこに自分の名前を書いていた。


「あぁ。誰がどの部屋を使っているのかわかるようにしようって話になったんだ」


「そうなんだ？」


その方が便利といえば便利かもしれない。


用事がある時に部屋を間違わなくてすむし。


「ほら、明日花も書けよ」


そう言い、健があたしに紙とペンを差し出して来た。


それを受け取り、大きく名前を書く。


伶香と郁美は名前の周りにオリジナルのキャラクターまで書いている。


なんだか緊張感がないなぁ。


そんな事を思ってクスッと笑った。
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