溶ける部屋
趣味
あたしの趣味は郁美と一緒に行くショッピングだった。


休みのたびに2人で出かけて、お互いに似合う服やアクセサリーを選びあう。


そこで買ったものは次の時に身に付けていて『やっぱり似合うねー』なんて、言い合っていた。


あたしはそれを思い出し小さく笑う。


そしてチラリと郁美を見た。


郁美はジッと紙を見つめていて、書くものに困っているようだった。


「郁美は、ショッピングでしょ?」


あたしがそう聞くと、郁美がビクッと肩を震わせてあたしを見た。


どうしたんだろう?


なんだか今朝から郁美の様子がおかしい。


「どうしたの?」


「別に、なんでもない」


郁美はそう言い、あたしから視線を外した。


紙はまだ空白のままだ。


「案外さ、不安にさせておいてサプライズだったりしてね」


不意にそう言ったのは伶香だった。
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