夢で会いたい
おまけ 白昼夢行路



小学校二年生で、僕は人生に絶望した。





何の授業だったか忘れたけど、とにかく退屈だった。
我慢して我慢して我慢して、そろそろいいかなって期待して黒板の上にある時計をそっと見上げると、それでもさっき見た時から5分も経っていなかった。

この授業は永遠に続くような気がした。
例えこの授業が終わっても、また次の授業がある。
今日の授業が終わっても、また明日授業がある。
今週が終わっても来週、今月が終わっても来月、今年が終わっても来年・・・・・・。

小学校は永遠より長くて、その先に中学校、高校と続く。
人生はなんて退屈なんだろう。

思えば、幼稚園でもおゆうぎする意味がわからなかったし、運動会で他人より速く走る必要性を感じなかった。

両親は揃っていてしっかり愛情も注いでくれる。
家自体も裕福な方だと思う。

それなのに、なにもかもが楽しくない。
それが贅沢な悩みだとわかっているから口にも出せない。

こんなに退屈で苦しくて僕は何のために生まれてきたのだろう。


仕方がないから本を読んだ。
読んでいれば少しは時間の流れが早かったから。

ひたすら読んで、好きなシリーズの本を全部読んでしまった時、今度は自分で書こうと思った。

ところが、心踊る冒険ものも、胸が熱くなる友情ものも、僕には書けなかった。

当たり前だ。
ドキドキワクワクする経験が、僕にはないのだから。




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