夢で会いたい
3 作家とそのファン



Mr.MATOMO、中島さんとの会食は3週間後の土曜日になった。

いきなり二人というのも困るし(というか顔も知らないし)、とりあえず小雪夫妻と一緒に食事をしよう、という話になったのだ。
消防士は勤務形態が特殊なので、都合が合う日を待ったら結構かかってしまった。

私が日帰りできる時間を考えて夕食ではなくランチである。
小雪と積もる話もしたいし、ホテルに宿泊することも考えたけど、「会う日にホテル予約してあるって、なんだか気合い入りすぎじゃない?」と真由から指摘されたため日帰りにしたのだ。

当日はネイビーのワンピースを選んだ。
シンプルながらダイヤモンド型に開いた襟元とフレアシルエットが女性らしくてお気に入り。
ピンク!花柄!レース!なんていうのは、元々持ってないし。

カーディガンとコートとブーツで防寒しても、12月に入った東北の朝は寒い。
雪が降っていない方がおかしいくらいの冷え込みなのだ。

サーモンピンクのショールもプラスして家を出ると、「あら、芽実ちゃん、今日は結婚式?行ってらっしゃい」とお隣の伸子さんから声をかけられた。

「・・・行ってきます」

結婚式に着られなくもないけど、派手さはないワンピース。
前は普通に会社に着ていっていたくらいのものだ。
というか、コートを着ているから中まではわからないだろう。
それでもワンピースを着て、髪も多少セットするとこの辺りでは十分目立つ。
実際サングラスなんかして色合いも派手なものを着る美弥子さんはいつも目立っている。

きっとすでに「芽実ちゃんは結婚式に行った」という噂が町内で流れていることだろう。



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