夢で会いたい
4 生まれ出ずる感情



郷に入ってしまったので郷に従わざるを得ず。
朱に交わったら、そりゃ赤くもなるわけで。

人間って良くも悪くも慣れてしまうものなのですねー。


引っ越してきた当初は専門の下着屋がなくて「この町の住人はパンツをどこで買うんだ!」って思ってたのに、スーパーに隣接した下着コーナーで買うようになってしまいますよ。

高価な下着は洗濯にも気を使ったものだけど、安いから汚れが落ちなくなったら買い換えられてむしろ便利。
見せる相手がいないっていうのも大きな理由だけど。


というわけで、毎日軽トラに乗ることにも慣れてしまうのです。


3時間一緒に帰ったことですっかり警戒心がなくなった私は、片道30分なんて気にならなくなっていた。
米の収穫も終わって暇だっていうし、なにしろ寒いし。


慣れてきたからなのか、単純に会う回数が多いせいなのか、ヤツの変化にも敏感に気付いてしまうようになった。

基本はニコニコしているくせに、一人でぼーっとしている時がたまにある。
そんな時のヤツは、とても怖い。
目がどこも見ていないのだ。

仕事を終えて店を出たとき、車で待つあいつがそういう目をしている時は、店に戻って少ししてから車に向かうようにしているし、運転中たまにぼーっとしているときは気配を消すようにしている。

何を考えているのかわからない。
ただ、脳天気なストーカーではないようだ。


< 48 / 115 >

この作品をシェア

pagetop