向日葵の天秤が傾く時
エルフを頼らずとも
「衢肖君、今日はもういいから帰りなさい。」


「え?でも、まだ昼前…」



落ち着きを取り戻した巫莵は吹っ切れたのか晴れやかな顔つきで、仕事をバリバリしようかと意気込んでいたのだが。



「構いませんよね、稷詫君。」


「ええ。後はやっておくから、帰ってゆっくり休みなさい。寝て無いでしょ。だからよく寝て、明日からまた頑張ってくれたらいいから。」



「所長…、稷詫さん…ありがとうございます。」



温かさに包まれながら、巫莵は帰路についた。



「篁くん、行って!」


「行くって何処へ?」



指差し鮖は言った。



「分からない?鈍いわね。」


「衢肖さんのとこ!」


「僕でも分かりましたよ。」



たたみかけるように瞠屡と学未、更には驛も自慢気に言う。



「え?何で…?」



「気付いて無いのか?衢肖さんが瀑蛞拓へ啖呵切っただろ。その時、何て言った?思い出してみろ。」


「………!!お、俺、行ってきます!」



卿焼は駆け出す、巫莵の元へ。



「無自覚というのは、殊更世話が焼けるものだな。」



この気の利く職員達を採用して良かったと、薔次はしみじみ思うのだった。
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