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家を出て40秒。曲がり角の電柱がいつもの待ち合わせ場所。

何年も前から貼ってある新築マンションのチラシ。その番号や部屋の間取り、それからオススメポイントが書かれた文章を一語一句覚えてしまったほど、この場所で待つことにはもう慣れた。


「美和~(みわ)!」

前方で私の名前を呼びながら手を振る親友。透き通るような白い肌にお人形のような顔。環奈(かんな)は高校に入ってますます可愛くなった。

「おはよう」と私の前で止まる影。

それは環奈の他にもうひとつ。毎日見ている顔なのに私は最近直視できない。


「おはよう。環奈、優(ゆう)」

それでも私はなにごともないふりをして笑顔を作る。


――いつからだろう。テレビの話とか映画の話とか楽しそうなふたりの会話を聞いて、時々私に同意を求める環奈に頷いて、優の横顔を見つめる。

こんな毎日に慣れてしまったのはいつからだっけ?