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次の日の朝。まだ人気のない学校に着いた私は静かに教室の扉を開けた。窓から眩しい朝日が射しこんできて一瞬目か眩む。そんな中聞こえてきたのは……。
「おはよう。美和ちゃん」
鮫島の声。
ぴょんっと跳ねてる寝癖に少し眠そうな目。
「ごめん。急に呼び出して」
「んーいいよ。早起き得意だし」
「嘘じゃん」
昨日環奈と別れて家に帰ったあと、私は鮫島にメールした。こんなに朝早く学校に来てほしいと言ったのは鮫島にしか頼めない゛あること゛をしてもらうため。
「本当にいいの?後悔しても知らないよ?」
「しないよ。だからお願い」
教室の机を前に詰めて私たちは広いスペースを作った。そして周りに新聞紙を敷いてその上に私の椅子だけを置いてそこへ座る。
鮫島はゆっくりと私の髪を触ったあと、チョキッと大胆に後ろ髪を切った。
「こーゆうのって途中で決意が変わらないように最初は大きく切ったほうがいいんだって。ほら、こんなに切っちゃったからやっぱり止めるって言えなくなっちゃったね」
鮫島の手には先ほど切った私の長い髪。それを新聞紙の上に落とすと鮫島は次々とハサミをいれていった。