――『美和ちゃんは自分のこと嫌いでしょ』

前に言われた言葉。

見透かされてるって思った。

そうだよ。私は私のことが嫌い。コンプレックスだらけだし、可愛げもないし、これからだってそうかもしれない。

だけどほんの少し勇気を手に入れた私のことは、嫌いじゃない。

鮫島は言った。

もう自分以外のものになれないから、だったら認めてあげないとって。

だから美和ちゃんもそうなれるといいねって。


「鮫島、私……」

なにもせずに失ってしまうのなら、私のちっぽけなプライドで後悔するぐらいなら当たって砕けたい。

砕けて粉々になって、塵のようになってしまったとしても、私はもう弱虫な自分とはさよならする。


「私、鮫島のことが好き」


はじめて自分の気持ちに正直になった。

見えないはずの想いが形になった気がして自然と背筋が伸びる。下は向かない。ただ前を見て、鮫島だけに届くように。


「ごめん。私意地っ張りで嘘つきで、鮫島の気持ちに向き合うのが怖くて逃げてた。今さらって思われるかもしれないけど私……」

すると、また一歩だけ鮫島は距離を縮めて私に手を差し伸べた。


「今さらじゃないよ。今からだよ」

その優しい声が私を包む。


「とりあえずもっと近くにきて。俺も美和ちゃんにたくさん伝えたいことがあるんだ」


誰かに背中を押してもらわなくても私は大丈夫。ちゃんと自分で前に進む。

もうすぐキミに触れる距離。


この気持ちに嘘はつけない。



【END】