「嘘……」

仕事を終えてアパートに帰宅した私は、部屋に入るなり我が目を疑った。

視界に映るのは朝とは違う自分の部屋。

冷蔵庫やテレビ、レンジ等の家電製品が部屋から消え、小さいテーブルの上にメモらしき紙が置かれている。

私はテーブルに近づき、ゆっくりとメモを手に取った。

それは、父の筆跡。

【美緒、ちょっとお金貸してね。必ず馬券当てて楽させてやるから】

さっとメモに目を通すと、私は慌てて部屋の奥にある整理棚に向かい、一番下の引き出しを開けた。

「……ない」

預金通帳と印鑑がなくなってる。