江戸のうどん屋で働き始めました
決意
***



「時の管理人にもいくつかタイプがあります。
わたしやシュンは、生まれ育った時代に住みながら、タイムスリップしてしまった人を連れ戻すことが仕事です。
お美弥ちゃんには、少し違うことをしてもらうことになるのですが…」



琴子ちゃんは、私が驚きでことばを失っている間に、時の管理人について説明を始めた。



「あなたには、その時代について書き残す、記録係のような役割を担って頂きたいと思っています」


「記録係…?」


「はい。一般的に伝わっている文献とは別に、我々が特別に持っている記録書があるんです。
その記録をする人間は、記録される時代より百年以上未来の人間と規定されています。未来の人間が、冷静な視点から記録した歴史書を作るのが狙いらしいです」



ゴクリと唾を飲み込む。


…それは、つまり



「私がその記録係を引き受ければ、またあの場所に行くことができるってこと?」


琴子ちゃんは微笑み、静かにうなずいた。


< 379 / 448 >

この作品をシェア

pagetop