江戸のうどん屋で働き始めました
何だかよく分からないが、この時代の人は女の子のことよく褒めるのだろうか。
可愛いだの綺麗だの、今日だけで今まで言われてきた分の軽く五倍は言われた気がする。
「太一くん、お疲れさま」
「ああ…」
ずっと働き通しだった太一くんに労いの言葉をかけるも、片付けをする彼は心ここに有らず、といった感じだ。
想像以上の早さで売れたし、疲れたのも無理はない。
「すごい!大盛況だったね」
「そうだな…にしても、どいつもこいつも鼻の下伸ばしやがって…気に入らねぇ」
「え?お客さん、皆おいしそうに喜んで食べてたと思うけど…」
「…ったく、お前は色々と鈍感なんだよ」
太一くんが何を言いたいか理解できず、私の頭の中ははてなマークで溢れかえる。
…お客さんは皆、気さくで良い人たちだったと思ったけど
結局、太一くんは店に戻るまで、何故か拗ねたようにしゃべらなかった。