オオカミ専務との秘めごと
オオカミの弱点

なんだか体が重く感じて、ふと眠りから覚めた。

寝返りを打とうとしても、何かが体に絡まっているようでちっとも動けない。

これは、何・・・?

まだ眠気の残る瞼をゆっくり開くと、目の前には真っ黒な壁があった。

あれ?いつもこんなのあったっけ・・・。

ぼーっとそれを見つめていると、ゴソッと動いたから、ぱちっと目が覚めた。


「え・・・?」


声を漏らすと同時にグッと黒い壁に押し付けられて、頭の中が疑問符だらけになる。

が、すぐに昨夜のことを思い出した。

そうだ、ここは私の部屋ではない。


『ベッドまで運んでやる』


ということは、ここは大神さんのベッドの上で、目の前の黒い壁は彼の体。

そして、私は彼に拘束されている!?

信じられないことに、彼の長い腕と脚は、私の体を抱き枕のようにガッチリと抱え込んでいるのだ。

少しまわりが暗く感じるのは、頭の上まですっぽりと掛布団があるせい?

彼は起きているんだろうか?


「ちょ・・・、あの?」


放してほしいとアピールするようにモゾモゾ動くと、拘束は緩まるどころか更に強まってしまった。

それほど高くない鼻がムギュッと押しつぶされてしまい、顔と彼の間に手を差し入れて、なんとか呼吸を確保する。

大神さんは寝ぼけているんだろうか、これでは超困るではないか。

何とか起こさねば!


「起きてください!」


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