妻に、母に、そして家族になる

縮み始める距離

それから私達は近くの警察署に行き、事情聴取を受けた。

警察官からの質問は主に私が答え、ハルくんは隣で時々相槌を打ったり頷いたりしていた。

事情聴取が終わったのは辺りがすっかり夜の闇に包まれた頃。

ハルくんがお父さんの携帯番号を知っていたため、警察署からお父さんに連絡を取ってもらって、迎えに来てもらうことになった。

警察署のロビーで待っている間、ハルくんはまだ恐怖が抜けきっていないのか、コアラみたいに私に抱き着いたまま離れようとしない。

私はソファに座りながら、ハルくんを抱きしめ、安心させるように一定のリズムで背中を叩いていた。

「もうすぐお父さんが来るからね」

ハルくんはコクッと頷くと、回していた腕に力を込める。

しばらくして外からバタバタと走る音がロビーに響いた。

「ハル!」

聞いたことのある男性の声。

そこに立っていたのは、ひまわりによく来る疲れた顔の男性だった。
< 17 / 128 >

この作品をシェア

pagetop