ヤンキー上司との恋はお祭りの夜に 2

冷却オトコに何がわかる

デミタスコーヒーは苦い。
カップが小さいから飲めるのであって、これ以上多かったら絶対にムリ。



「まあまあの味だったな」


カップを皿の上に置き、羅門という男が料理を評する。


「魚はスズキよりも太刀魚の方が断然ソースには合ってたと思うけどな」


メインディッシュの魚が今一つだったようだ。


「そう」


私はお肉料理だったからどうなのかは知らない。
余計な言葉を返さず、飲み込んだコーヒーはやっぱり苦い。


「肉の方はどうだった」


感想を聞いてみたいのか。


「美味しかったわよ。煮込んであるボルドーワインとスペアリブの旨味が絡んでて最高。ただ…」


言おうかどうか迷う。
食レポなんてことをやった事もない。


「強いて言うならもう少しお肉を焼けば良かったかもね。骨からの肉離れも良くなると思うし、香ばしい方が好きだから」


ワガママな評価をしてしまった。
コックをしている男は「ナルホド」と首を縦に振る。


「でも、旨かったんだろ?」

「そりゃモチロン!」


力強く言い返した。
羅門という男はフッ…と笑いを噛みしめ、「じゃあイイじゃん」と締め括った。



前言通り、会計は奴が支払った。
当然と思ったけど、一応お礼だけは言っておこう。


「ご馳走様」


です、まで付けなくていいか。


「ああ」


それは挨拶を返してるってことなの!?


「じゃあ送って」

「もうか!?」


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