気が付けば朝を迎えていて、私は重い瞼を開く。

体はまただるく、力の入らない手で昨夜枕元に置いたままにしていた体温計を取った。

数分の後、小さく鳴った電信音。

ワキにあったそれを取り出せば、表示されている数字はまだ38.7度を示している。

さすがに一晩では下がらないかと少し残念な気持ちになっていると、ノックの音が部屋に響いた。

昨晩よりは多少マシになった体を起こして「はい」と応答すれば、扉が開いて識嶋さんが入ってくる。

白いシャツにライトグレーのカーディガンを羽織った休日スタイルの彼の手には、ブラックのスタイリッシュなトレイ。

その上にはお小さめの土鍋とグラスが乗っていて……


「これ、食べれるか」


おずおずと、ベッドサイドテーブルにトレイを置いた。

中は何かと土鍋の蓋を持ち上げると、熱々の湯気と共に現れたのは梅干しと昆布が添えられた白いおかゆ。


「識嶋さんが作ったんですか?」


村瀬さんは休みだし、レトルトのように見えなかったので尋ねると、彼はこっちを見るなとばかりに顔を背けて「不服か」と拗ねたように口にした。


「い、いえ。とんでもないです。嬉しいです」


またひとつ、新しい識嶋さんを知れて。

しかもそれが心を温かくしてくれるような、思わず頬を緩めてしまうもので。


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