健診診断と恋と嘘
健診センターのお仕事

健診センターの朝は早い。時に早すぎるほど早すい。


なかなか特殊な職場だな、といつも思う。


今日は六時出発だからみんな六時前から職場に出勤している。


早すぎると思うんだけど、もっと早い日もあったりするんだよね。


五月も半ばとはいえまだ朝早いから空気がひんやりしている。


海と山に挟まれたせいなのか夏場でもこの地域は少し涼しい。


今日は曇ってるせいなのか今は温度が低そうだ。


「寒っ」


そう言って白衣の上に羽織っているパーカーの前を合わせてぶるっと震える。


白衣の中にも薄手のインナーを着てるけど、やっぱり朝は寒いな。


「本当、寒いですね。昼間は晴れて暖かくなるみたいですけど。身体おかしくなっちゃいますね」


そう言った先輩の結城千紗(ゆうき ちさ)さんが私と同じように着ている服の前を合わせて肩をすくめる。


結城さんは今年二十八歳になる私より三歳年下の二十五歳だけどここの会社では先輩になる。


< 1 / 314 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop