愛する人
六話

✳️✳️くそっ


俺は、あの日
片瀬さんに言われた
言葉が頭から離れず

仕事もままならずにいた。

なんとか毎日
やっと仕事をこなしている状態だった。

そんな時······

山田さんから
「おい、櫂。これを見てみろ。」
「なんですか?この雑誌。」
「お前のお袋さんの会社のだ。」
「お袋?いま、お袋なんて。」
「いいから、見ろって」
と、言われて

広げると・・・・紫が

それは‥‥‥それは‥‥
綺麗な紫海が、写し出されていた。

どこかの、教会のステンドグラスの中と
海辺の写真だ。

山田さんに
「撮影した日を見てみろ。」
と、言われてみると
あの日だ。
連絡がつかなかった日

そのとき、会社の事務所ドアをノック
する音が‥‥‥

山田さんが開けると
顔を見たことがあるメイクさんで
俺の手元の雑誌をみて
「それっ、それに、載っている
綺麗な女性は、櫂さんの彼女さん
ですか?」
と、突然訊かれて
「この人か?」
と、山田さんがみせると
「はい。この人です。
私がメイク担当でした。」
と、言って
その時の様子を話してくれた。

彼女は、玲奈から紫海が
言われた事も聞いていて
「紫海さんが、可哀想で。
すごく、優しくて綺麗な方だったから
気になって。

今日、雑誌が出来て見ていたら
一緒に見ていた仲間から
この人は櫂さんの彼女さんだ。
と、言っているのを聞いて
彼女さんが、あの後
どうしているか、気になりまして。」
と、言った。

俺は、その人に
お礼を沢山言った。

くそっ!!
親の事を言ってなかった
俺も悪いが・・・

ある事、ない事
言いやがって
あの、くそ女。
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