素直の向こうがわ
3.隣の席の無表情しかめっ面眼鏡男




遠足も終わり、学校は平常授業に戻っている。

隣の席に座る河野も、相変わらずの無表情。


別に、いいけど……。


私も私で、特に気にかけたりなんかしてないし。


1時間目と2時間目と連続してある必修科目の授業の合間、私は自分の席で教科書を何気なくペラペラと捲っていた。


「ねえ、フミ、鏡持ってない? 今日、忘れてきちゃって」


真里菜が目を真っ赤にして私の席に寄って来た。


「いいよ」


鞄の中から鏡を探し出し、真里菜に差し出す。


「ありがと。助かる。コンタクトがずれちゃったみたいでさ」


その場で鏡を覗き込み、下瞼を引っ張り可笑しな顔になっている。

そんなところに、遅れて薫がやって来た。




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