どん底女と救世主。


ひとりで軽くパニックに陥っているのを隠しながら、ちらりと課長を見ると。


課長は膝の上の猫を撫でながら、未だ本部長への愚痴を呟いている。

その手つきは優しくて。
猫は気持ちよさそうに目を細めて、ごろごろと鳴いている。


ああ、猫になりたいな…。


あれ、私今なにを思った?え、猫になりたいってなに。


ああ、私もうダメかもしれない。


ずっと見ないふりをしていた。敢えて気づかないふりをしていた。


誤魔化し続けるにも限界が来た。


それと同時に、なにかが変わっていく予感がした。




< 181 / 260 >

この作品をシェア

pagetop