どん底女と救世主。


腫れた目をなんとか化粧でごまかし、チェックアウトを済ませ会社に向かう。


息苦しい満員電車に揺られていると、思い出したくもない昨日の出来事が蘇ってくる。



私には、2年と半年付き合っている、いや付き合っていた彼氏がいた。


野田 勝(のだ まさる)同い年の28歳で、会社の同期だ。


笑うと片方だけえくぼが出来る彼は、初めて見たとき、穏やかそうな人だなと思った。大人しそうだな、とも。


でも、研修で同じ班になったとき積極的に班を引っ張る姿にどきり、と胸が高鳴って。


同期会では隣に座ったり、連絡先を交換したりと私からアピールしたりして。


二人きりで仕事帰り飲みに行く回数が増え、休日にでかけるようになっていった。


そうして2年前、彼から告白されたときには涙が出るほど嬉しかった。


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