どん底女と救世主。
付き合い始めて1年と少し経ったころ、仕事柄なかなか会えない日々が続いていた私たちは同棲をすることに決めた。
私と彼が勤めるのは、いわゆる『御三家』とも並ぶと言われる老舗ホテル。
私は事務として入社し、営業部で営業事務をしているから休みもほぼ固定されているけれど、一方勝は専門職 。
宴会部門のサービス責任者として働く彼はとにかく忙しく、休みが全くと言っていいほど重ならなかった。
付き合い始めて1年も経つと、ふたりっきりでドキドキ、なんてことも当然なくなって。
どちらからともなく出た同棲話に甘い雰囲気はあまりなく、会えないことの解決策といった感じ。
そして同棲生活も1年経つと、更に甘い雰囲気なんてなくなって、休みが重なってもふたりで出掛けこともなく、お互い自由に過ごしたり。
そんなふたりだったけど、そんな関係も心地が良かったし、私は勝と結婚するんだろうな、なんて漠然と考えていた。
勝もそう思っていると当然のことのように思ってた。
ようするに、油断していたのだ。