どん底女と救世主。



ああ、だめだ。頭がくらくらする。

激しい動きで余計にお酒が回ったのか、より一層疼きだした頭を抱え、私はまた机へと逆戻り。


机がひんやりとしていて気持ちいいな。


お酒って怖い。こんなにも意味がわからない状況だと言うのに、寝てしまえるなんて。


机の冷たさと、お店の適度な騒がしさが心地良くて、瞼が重たくなり意識が定かではなくなってくる。



だからそんななか、




「ーーー俺以外の男に泣かされるなよ」




と掠れた低い声で囁くようにそう言ったのが、課長なのか空耳なのか夢なのか。


そんな判断が、完全に意識を手放した酔っ払いにつくはずもなかった。




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