*リクエストありがとうございました。
読者様への感謝の気持ちを込めまして、ささやかですが後日談を追加したいと思います。お楽しみいただけると幸いです。



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雪解けの四月、車道沿いに積まれていた雪は高さを三分の一ほどに低くして、歩く足元の雪はようやく溶けて消えた頃のこと。

今日は土曜で出社の予定もなく、麻宮は自宅マンションで過ごしていた。

昨夜は明け方近くまで亜弓と激しく交わり、彼女を腕に抱いて昼前まで眠りについていた。

起きたのは三十分ほど前で、シャワーを浴びてリビングに戻ると、亜弓が朝昼兼用の食事をダイニングテーブルに用意してくれていた。

「美味しそうだね」と席に着くと、彼女も向かいの椅子に座り笑顔で皮肉を言う。


「美味しいですよ。野菜タップリですから」


レタスとキュウリとハムのサンドイッチに、ブロッコリーと海老を茹でてドレッシングで和えた温サラダ。

チーズオムレツと、カットフルーツと、角切りベーコンが少々入ったオニオンスープ。

肉はハムとベーコンが少しだけ。
この部屋に亜弓がいて、彼女が手料理を振る舞うときには、このようにバランスを考慮したメニューとなる。


麻宮はサンドイッチをひと口、口して「とても美味しい。ありがとう」と笑顔を向けた。

それは作ってくれた彼女への労いの気持ちだけではない。

パンは焼き立て間もない香りがしていて、まだ麻宮が目覚めぬ内に、亜弓が外に買いに行ってくれたのだろう。

野菜は採れ立てというわけにはいかないが、レタスもキュウリもパリッと水々しく、麻宮がシャワーから上がるタイミングを見計らってパンに挟んだに違いなかった。

食べる人のことを考えて作られた食事は、肉が少なくても美味しいものだ。

心から美味しいと思い、麻宮が口にした言葉に、亜弓は苦笑いする。


「本当は肉が足りないと思ってるんでしょうけど、慣れて下さいね。今は若いからいいとしても、聖志さんには将来的にも健康でいてもらいたいんです」

「亜弓の気持ちは十分に伝わってるよ。ありがとう。それに本当に美味しく食べているから心配しないで。なにも不満はない」