クールな公爵様のゆゆしき恋情

湖の別宅

アンテス城に戻って1週間後。

私は湖の畔に建つ別宅へ移る準備を始めました。今日は下見に出かけます。

一緒に行くのはエステルと、護衛役のリュシオン。それからリュシオンの部下の3人の騎士達です。

お城から別宅まではそれ程遠くありません。ゆっくりと朝食をとってから出発しても、お昼前には到着します。


「ねえ、そろそろ教えてくてもいいんじゃない? 別宅に住んで何をするの? 別宅には何か面白いものが有るの?」

一週間でアンテスの景色にも見慣れて来たのか、今日のエステルは馬車の窓の外の景色に夢中にならず、私に話しかけて来ます。

今は、別宅の事が気になって仕方ないようです。
期待を込めた視線を受けて、私は困ってしまいました。

エステルには「秘密」なんて言って勿体ぶってしまいましたが、実は大した秘密なんてないのです。

湖の別宅でやりたい事もそれ程立派な事では有りません。

初めから素直に言っておけば良かった。がっかりさせてしまうだろうなと思いながら私はエステルに説明しました。
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