エメラルド・エンゲージ〜罪の葉陰〜
眠り姫の夢





蔓草がデザインされた重そうな門扉をくぐると、私たちを乗せた車はエンジンを止めた。

私は車を下りると、半日ぶりに外の空気を吸い込むとともに、周囲を見渡した。

庭園みたいに造りこまれた広い庭。

あちこちに初夏の花が咲き乱れていて綺麗だ。

緑の中を散策するように作られた小道もあり、その途中には噴水まであって、流れ落ちる水が陽の光に輝いている。

そして、広い庭を持つのは当然と言いたげに堂々と建つ、三階建ての大きなお屋敷。

尖った青い屋根に真っ白な壁。
門扉と同じく植物が絡まったみたいな凝ったデザインのバルコニーにテラス、たくさんの大きな窓。

歴史の本で見たお城みたいだ。

ハルヒコ様親子と数人の使用人だけで暮らすには広すぎる家だ。

そこに私が加わったところで、面積と人数は釣り合いそうにない。

絵に描いたようなお金持ちの家だ、なんて下品な感想は胸にしまったまま、私はハルヒコ様に肩を抱かれ、カンバラ邸の中へと足を踏み入れた。

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