ムーンライト・テンプテーション ~つきあかりに誘われて~ 
番外編:手放せねえ女 (望月光視点)
「やっぱり望月さんは、あか・・都木(つき)さんとつき合ってたんですね」
「あ?ああ」

俺は、いつの間にか隣に来た島野をチラッと見ると、手に持っていたグラスをグイッと煽った。
中には氷入りの水が入ってる。
この後、明里(あかり)と一緒にあいつんちの両親とこに挨拶しに行くから、今は酒飲まない方がいいだろう。

「しかもデキ婚って・・・」
「ああ。まさかこの年で父親になるとはなぁ。俺自身驚いてるぜ」
「ほぉんとっ!まさか望月さんが明里ちゃんとつき合ってたことすら私全然知らなかったのにぃ!そんなそぶり全然見せなかったじゃない?望月さんは!」
「ま、最近のことなんで」
「明里ちゃんだってそうよぉ!昨日私“結婚しないの?”って、明里ちゃんに聞いたのよぉ?でも明里ちゃんは笑って否定したのよぉ!なんで望月さんとつき合ってること言ってくれなかったのかなぁ・・わたしっ、ちょっと明里ちゃんに聞いてくるぅ!」

鹿毛(かげ)女史は、一方的に俺にまくしたてると、サッサと席を立って、明里の方へと歩いて行った。

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