群青色、君の色。
赤色



十月の雨がばしゃばしゃと音を立てて学校を包んでいた。

普段なら気分が下がる天気だけど、いまは違う。
なぜなら、今日は偉い人たちが見に来る土曜参観で、部活がなくなったのだ。

それだけではなく。

このまま雨が降り続けてくれたら自転車に乗れなくなり、剣道の道場での稽古もさぼれる可能性が高い。

「うふふ」

思わず笑いがこぼれる。

「ちょっと今の笑い方めっちゃやばかったよ、こなつ」

後ろの席の美佳子に声をかけられ、振り返る。

「俺も思った」

隣の席の高橋も便乗して私を笑う。

「そんなこと言いながら、ほんとはいまの笑い方が素敵すぎて二人とも照れてるんでしょ?」

とっておきの変顔をした。

「ちょっと、頭大丈夫?」
「美佳子、大丈夫だよ」
「病院行くか?」
「だから大丈夫だって!」

楽しいなぁ、と思う。

「お前そんなんだったら彼氏できないよ」

高橋はそういうけれど、実は半年前まで彼氏がいた。
私は一年間ずっととある先輩に片思い中だったが、あきらめようと思った頃に元カレから告白されて、付き合うことになった。
放課後や休日にデートしたり、一緒に帰ったり……。
そんな青春らしいことを満喫して三ヶ月。
彼氏だった人に好きな人ができたと発覚して、自分から別れを切り出した。


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