「はじめてだな、晶子が俺のことを好きだって言ってくれたのは」

「え、え? そうだっけ?」

 顔を綻ばせている直人に、私は照れもあって、変に動揺してしまった。直人は軽く頷いている。そういえば、そうかもしれない。そのとき、直人の方に体を引き寄せられて、優しく抱きしめられた。

「誰よりも幸せにする、約束するよ」

 耳元で囁かれ、私の心臓は早鐘を打ち出した。望んだのは私なのに、いざ、こうして直接言われると、なんだか恥ずかしくて、くすぐったい。でもそれは嬉しいからだ。だから私も、直人の背中に思いっきり腕を回す。

「ありがとう。私も直人のこと、絶対に幸せにするから。直人が愛されてるってちゃんと実感できる日々を過ごせるように」

 腕の力が緩められ直人と視線が交わる。私は今度は彼から視線を逸らさなかった。

「どんな直人も大好きだから。幸せになろうね」

 そう言うと彼は優しく私の額に口づけてくれた。さすがに外だし、おばあちゃんの前なので、口にはなしだ。でも気持ちは十分に伝わったし、伝えられた。

「今から、直人のご両親にも挨拶に行きたいな。直人のことをちゃんと幸せにします、ってお伝えしないと」

「それは普通、俺の台詞じゃないか?」

 呆れながらも直人は私の手を握ってくれた。そしてゆっくりと二人で歩き出す。

 私のことをちゃんと見てくれる人に出会えた。心の底から好きになれる人に、どんな彼でも好きだと思える人に。それはとっても幸せなことで、その幸せは、これからもっと増え続けていくんだと思う。

 もしもあなたと結婚するなら。

fin.