三日月晶子。じいさんの元恋人でもあり女優の三日月今日子の孫娘の一人で、うちの社員。正直、渡されていたデータから、相手は女優の妹の方だと思っていた。

 しかし、見合いの相手としてやってきたのは姉の方で、肝心の彼女はというと、あまり俺に興味もなさそうで、じっと見つめてきたかと思えば、それは俺ではなく、部屋の調度品や内装だったりしたので、これには肩透かしを食らった。

 もう少し自分に興味を持ってもらったり、見合いに対して前向きな姿勢を見せてくれると思っていたら、なんてことはない。おかげで、つい彼女が見合い相手だった不満を見当違いだとは分かっていても、本人にぶつけてしまった。

 なにかしら反応が欲しかった。怒りでも悲しみでも、少しは俺の方を見て欲しかった。けれど、

「まぁ、そうなりますよね」

 怒りも悲しみもなく、あっけらかんと返してきた彼女に、ますますどういう態度をとっていいのか分からない。結局、彼女とあまり話すこともなく見合いが終了した。

 けれど、残念ながら、このまま引き下がるわけにもいかない。

「朋子さまとお見合いできるように、もう一度先方に掛け合ってみますか?」

 見合いが終わった後、こちらで秘書についてくれることになった栗林に提案された。そこで、俺にしては珍しく迷った。

 それぐらいの融通は利かせてもらえるかもしれないし、一度、妹の方と会ってみるといいのかもしれない。それでも、俺はその提案にはのらずに、彼女を翌日、社長室に呼び出すように指示したのだった。