現場系男子にご用心!?【長編改訂版】
未来への一歩

「……で、久しぶりに話があるって連絡が来れば、まさかの結婚報告ですか!」

「うん。いや本当にゴメン。色々とあったのよ、これが」

二月もだいぶ終わりに近づいた頃、私はまた久しぶりに咲良に連絡を取り、前回と同じ店に来ている。

咲良と会ったのは、まだ岡田さんと付き合うか付き合わないかで迷っていたとき以来。
で、次に会ったときにはもう結婚を決めているんだから、そりゃあ咲良も驚くだろう。

また今日も報告しながらしこたま飲んで……、なんて思っていたけど、咲良の方にも変化があった。

「まあ私も実は、里緒奈と会ったあとに妊娠が発覚してさ。バタバタしてて連絡出来なくて……。報告出来なかったのは私も同じだから、しょうがないか」

「え!本当!?おめでとう!!……ならお店、ここじゃない方がよかったね」

「大丈夫だよ。ここ掘りごたつの個室で、ちょっとしんどいなら気にせず横になれるしさ。でも当分は里緒奈につき合ってお酒が飲めないのが申し訳ないところだけど」

「いやいや、それは全然構わない!……逆にゴメンね、誘ってしまってさ」

「ううん、いいんだ。誰かと話してる方が気も紛れるし。前みたいに遅くまではいられないけど、限られた時間、いっぱい話そうよ」

咲良の子は、もう少しで四か月目に入るらしい。
つわりはそう酷くはないらしいが、それでもなにかしてないとムカムカしてくるんだそうだ。

「気にしないで好きなの頼んで」って咲良には言われたけど、あまり匂いのきつくないものや、さっぱりとしたものを頼むことにした。

お酒は、最初我慢しようと思ったけど、咲良に「遠慮しないで頼め!」って怒られて、飲み物だけはビールを注文する。

オレンジジュースとビール。
咲良が普通のジュースを飲むなんて、意外過ぎてなんか慣れない。

でも、咲良がお母さんか……。

少しずつだけど、でも大きく人生は進んでいくものなんだな。

< 110 / 133 >

この作品をシェア

pagetop