農民生まれの魔女
魔法学校初等部

私はあの後養子縁組を結んで
パルソンと言う素晴らしい姓をもらった


パルソン家はこの国切っての研究者一家らしい
それになんと爵位まで持っていると言う
私は昔、爵位を持っている人を見たら頭を下げなければならないという話を聞いた事がある

そんな雲どころか宇宙の果てまで違う
人達の中に私は入ったのだ
実はあの後みっちり貴族の教育を受けて
やっと解放される時が来たのだが
これから待ち受けている本番が恐ろしい

「よし、出来た!」

私は新しい香りに包まれた
それは今日から通う学校の制服の香りだ

その制服は難しい造りになっていて着るのに時間がかかった
鏡を見ると
ポニーテールに丸眼鏡を掛けた自分が制服を着て映っている

「ちゃんと貴族になれてるかなぁ」

自分の顔を両手で掴み鏡をじっと見る
その時いきなりアレンが入って来た

「お、イヴ着替え終わったか」

「うあっ、ア、アレン!ちゃんとノックしてよ
女の子の部屋に入る時の常識でしょ!」

いきなりアレンが入って来るから
慌てて振り向いた

その時イヴの頬はピンクに染まっていた
何故なら
自分の顔をじっと見るなんて、まるで自分が
ナルシストみたいで恥ずかしかったからだ

「え、ノックはしたよ
イヴ聞こえてなかったんじゃないか?」

ますます恥ずかしい
イヴの頬はピンクから赤になった

アレンはイヴの部屋に入った瞬間
心臓が高鳴った
その小柄な体型に少しゆったりとした制服が
似合っている
極め付けに高い位置に結んであるポニーテールだ、今までずっと下ろしていたので
印象がガラッと変わる

しかし問題が1つ有る
イヴが掛けているその眼鏡だ
それはお父様が護身用にとイヴに掛けさせたものだが
普通の眼鏡ではない
ある魔法が、かかっている

その魔法とは……
素顔を隠す魔法なのだ

だからいくら服や髪型が似合っていても
顔を見たら全くの別人だし
素顔はあんなに可愛いいのに……

アレンは心に芽生えた小さな怒りを押し殺す
そして自分を納得させる

性格は変わっていない決して性格は変わっていない
イヴはイヴだ、イヴはイヴだ

イヴはまさかアレンがそんな葛藤をしているなんて思ってもいず
やっと頬の熱が冷めた事にホッとしていた




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